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すべてはここからはじまりました。中島さもさん関連本のご紹介です。


大金持ちになる方法

松江市の女子高生「田舎の魔女」くんが、通っている高校の生徒会誌のコピーを送ってくれた。
この中に「君も大金持ちになれる」なる論文があるので紹介する。この学校は北高というのだが、
ここの学食を利用して大金持ちになるのである。この学食の定食は二五〇円である。
内容は「ごはん+おかず+みそ汁+たくあん二枚」だ。別売のごはんは、八〇円、みそ汁は五○円である。
普通のカレーライスは二五〇円、カツカレーは三二〇円だ。つまり、カツの値段は七〇円ということになる。
ところで、同じカツを使ったカツ丼は三〇〇円だ。カツ丼の内容は「ごはん+カツ+汁+たくあん二枚」。
ここから、逆算していくと、
カツ丼(300円)−カツ(70円)−ごはん(80円)=汁+たくあん(150円)

ということになる。
汁はほぼタダだと考えると、たくあん二枚が一五〇円もするという計算になるではないか。
ここから先の定食のことを計算してみる。

定食(250円)−ごはん(80円)−みそ汁(50円)−たくあん(150円)=おかず(マイナス30円)

になる。
つまり、おかずのみを買うと、三〇円もらわなければ計算が合わない。
学食に行って毎日おかずのみを買いまくれば、腹はいっぱいになるわ、金はたまるわ、チリも積もれば山となるわで、
大金持ちになれるんである。

そもそもこの投書をもらうきっかけになったのは、朝日新聞の「明るい悩み相談室」に寄せられた
「玉子うどんの悩み」なのだ。ある音楽の先生がうどん屋に行ってメニューを見たところ、
「かけうどん・三〇〇円」「玉子うどん・三八〇円」とあり、その下に、「各玉子入りは五〇円増し」とあった。
ということは「玉子うどん」とたのまずに、「かけうどんの玉子入り」と注文すれば三五〇円になるのだろうか、
という悩みだった。
この差額、幻の三〇円というのはいったい何なのだろうか。
これがひょっとして「世界の不条理」というものの実体化した姿なのではないだろうか。

同じようなことで悩んでいた人は多いようで、他にもたくさんの反響があった。
たとえば、下北沢にあるスパゲッティ屋では<並>のスパゲッティが五〇〇円、<小>が三〇〇円、
大盛りは一〇〇円増しである。では、「並」とたのまずに「小の大盛り」と言ったら
同じ分量のものが四〇〇円になるはずなのだ。
ここでネックになるのは「小の大盛り」と口に出して言える勇気が、並の人間にはたしてあるかどうか、ということだけである。

本職のそば屋さんからも反響の手紙をもらった。
足立区のご主人からである。ご主人は日頃からこの問題には頭を悩ませていたらしい。
同じ物であっても注文の仕方によって価格がちがってきてしまう。ご主人の結論としては、
特殊な注文をしたせいで高くなってしまった場合には、特別注文のためだと納得してもらう。
逆に「かけの玉子入り」と言われればその値で出す。
つまり、その店に詳しいものが得をする、ということにしているそうだ。うどん界は深い。





 
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