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ぼんやりと、友川カズキが現れるまで、若松監督の過去の作品が上映されるという後日のプログラムを見ていた。昔の作品ほど、結構激しいタイトルが並ぶ。
そうこうするうちに、暗転。
開口一番、
若松さんがいろんな所で書いてる僕との出会いは嘘ですから、ほんっとに。それを言いたくて来たようなもので…。」
友川カズキ、訛りは健在でした(なので、さらっと標準語で読まないように!)。
でも、何度もこれを力説するところを見ると、あんまりいいこと書いてないのかな?実際のところ引き受けることになったのは、監督と飲みに行って、最初は(音楽担当を)説得されても断っていたけど、「一人じゃ出来ないけど、バンドでやるんだったら…。」と最後には承諾してしまったようです―酒のせい?それって、三池監督の時とそう変わらないんじゃ(「撮影に行ったら毎日酒飲ませてくれて、嬉しかった〜。」って言ってたような)?
「今日も、十二時間さっきまで飲んでいました。でも、舞台に立つとシャキッとしてる…自分がプロだなと思うわけです。」
十二時間!?ありえん…。でも、歌ってる姿、プロです。自分の確固たるスタイル、崩しません。私の横に座る、初めて友川カズキを見る友達は、驚きっぱなし…。「恐いわ〜。」と後で言っていました。そう、しゃべってる時の訛りと面白さが、歌い始めたら何かに取り憑かれたように、絶叫弾き語りマシーンに一変。ギャップの凄さに恐くなるのも分かります。
「生活・性格の崩壊…。」
「飲みすぎたせいで、時々頭の中で自転車が通るんです。」
「今日のバナナホール(ライブ)の儲けを持って、岸和田に行かねば。明日は競輪が!」
「世の中で一番面白いのは競輪だと思ってましたが、…最近政治が面白くなってきました。」
と、最後は次回総選挙の話まで及び、独特の感覚に笑いました。こうやって映画と全く関係なさそうな話をしてましたが、映画では自転車って主人公と共に、常に映っているわけで。彼なりの舞台挨拶だったんだろうと思われます。でも、競輪のゴールって、線引きがあって止まるべき場所が用意されているんですけど、この映画の主人公にはゴールって無いです。全速力でこぎつづける脚力に、白い息に、自分まで凍えそうになります。親殺しの少年は自然を前に、クリーンなイメージでさえあり、老人たちとの対話をマグネットで淡々と冷蔵庫に貼り付けているような感覚を覚えます。あるのは自分の肉体と思考のみ…。この作品は、自由に想像の世界へと見るものを導きますが、呼びかけには主人公と同じく応えてはくれないように思います。
後日、映画『IZO』と『17歳の風景』の挿入歌で出来たCD「いつか、遠くを見ていた」を購入。CDに収められている分、実際の絶叫より丸く感じられて聞きやすく思います。『巨人(トシの才気にオンブして)』という曲は、即興で歌詞がつけられたとのことで、歌詞カードには詩が載っていません。「ゼツ・ゼツ・ボウ・ボウ・絶・望・ボウ」の歌詞は『17歳の風景』のチラシにも書かれている言葉。そこからかんがみるに、重要な曲でしょう。ただ、曲の途中で「現国の吉岡先生の肩中からなるとが落ちてきた時…」なる部分が。ビクっとなってしまったのは私だけでしょうか。それにしても、どっからこんな歌詞が生れてきたの…?そこが即興、即興詩人たる由縁でしょうか。
ところで、私は3曲目の『桃源』(『IZO』挿入歌)が好きです。珍しく、絶叫もギターは有りません。たった2分半弱の柔らかい歌。桃源というこの世にはない世界、望郷・少年の日が感じられます。他にも、友川カズキといえば、中原中也の詩に曲をつけたものが有名で、一曲含まれております。
一風変わった男、友川カズキをご賞味ください!
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