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  しゃべる蒲鉾
『絶叫と訛り』
 in第七藝術劇場(大阪十三)

2005/8/13

映画17歳の風景 少年は何を見たか』を見に行こうと決心したのは、若松監督が好きとか、ウォーターボーイズに出てる柄本佑が好きだとか、そういう理由では全くなく。だいたい、柄本佑が柄本明の息子だっていうのも知らなかったですし。父親に全く似てないなぁ…。でも、最近の映画に結構出てるみたいで、彼は注目株かもしれない…。
…本題に戻ろう。ではなぜこの映画に行こうと思ったかというと、友川カズキ(=映画音楽担当)舞台挨拶&ミニライブが、上映前にあると知ったから。…去年のことを思い出して、絶対見なきゃと握りこぶしを思わず作ってしまった私。

★友川カズキを知った日

あれは2004/8/21―。「今年の旅行は東京にするぞ。」と決めていた。ぎりぎりになって、この日が映画『IZO』の公開初日<舞台挨拶>だと知り、「東京着いたら渋谷行って、映画館までお願いだから走って。」(フライト前に、電話確認すると「整理券はもう既に配られていて残りわずか」と言われていた。)と、同行の友達に懇願するはめになった。
迷いながらたどり着いた映画館シアターフォーラムは、かっこいい面構え(神戸のアートビレッジ風だなぁと思ったり)。さっそく、立ち見でしたが整理番号ゲット。開演まで時間があり、斜め前のスタバでスタンバることに。ジューっと甘い抹茶フラペチーノを吸ってたら、「あ、あそこのスーツのかたは美木良介?」などと益々ヒートアップ。人が並び始めたので私たちも店を出る。お客は様々…一番目を奪われたのは、白の浴衣を着ていた若い男性。少し着崩した感じが粋でした。

映画館は結構狭く、一般観客と報道陣で超満員。そして、挨拶に来ていたメンツもかなり凄いなと。三池監督・中山一也・松田龍平・内田裕也・中山麻里・高野八誠…そしてそして、友川カズキ。テレビでよく見る有名人達の中で、一人訛ったおじさん…誰だろう?という感じでしたが、映画が始まってビックリ。何の脈絡もなく(この映画自体、すじを追うのが難しいんですが)、突然ギターをかきならし絶叫詩人?のように現れる男=友川カズキ。映画も残虐なら、友川カズキも暗く過激。でも、この映画にはまり過ぎている!!この人がいなかったら、この映画の旨みが抜け落ちるのではないかとさえ思ったほど。こんな歌い手初めて見た…。


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★2度目の友川カズキ

ぼんやりと、友川カズキが現れるまで、若松監督の過去の作品が上映されるという後日のプログラムを見ていた。昔の作品ほど、結構激しいタイトルが並ぶ。
そうこうするうちに、暗転。
開口一番、
若松さんがいろんな所で書いてる僕との出会いは嘘ですから、ほんっとに。それを言いたくて来たようなもので…。」
友川カズキ、訛りは健在でした(なので、さらっと標準語で読まないように!)。

でも、何度もこれを力説するところを見ると、あんまりいいこと書いてないのかな?実際のところ引き受けることになったのは、監督と飲みに行って、最初は(音楽担当を)説得されても断っていたけど、「一人じゃ出来ないけど、バンドでやるんだったら…。」と最後には承諾してしまったようです―酒のせい?それって、三池監督の時とそう変わらないんじゃ(「撮影に行ったら毎日酒飲ませてくれて、嬉しかった〜。」って言ってたような)?
「今日も、十二時間さっきまで飲んでいました。でも、舞台に立つとシャキッとしてる…自分がプロだなと思うわけです。」
十二時間!?ありえん…。でも、歌ってる姿、プロです。自分の確固たるスタイル、崩しません。私の横に座る、初めて友川カズキを見る友達は、驚きっぱなし…。「恐いわ〜。」と後で言っていました。そう、しゃべってる時の訛りと面白さが、歌い始めたら何かに取り憑かれたように、絶叫弾き語りマシーンに一変。ギャップの凄さに恐くなるのも分かります。
「生活・性格の崩壊…。」
「飲みすぎたせいで、時々頭の中で自転車が通るんです。」
「今日のバナナホール(ライブ)の儲けを持って、岸和田に行かねば。明日は競輪が!」
「世の中で一番面白いのは競輪だと思ってましたが、…最近政治が面白くなってきました。」
と、最後は次回総選挙の話まで及び、独特の感覚に笑いました。こうやって映画と全く関係なさそうな話をしてましたが、映画では自転車って主人公と共に、常に映っているわけで。彼なりの舞台挨拶だったんだろうと思われます。でも、競輪のゴールって、線引きがあって止まるべき場所が用意されているんですけど、この映画の主人公にはゴールって無いです。全速力でこぎつづける脚力に、白い息に、自分まで凍えそうになります。親殺しの少年は自然を前に、クリーンなイメージでさえあり、老人たちとの対話をマグネットで淡々と冷蔵庫に貼り付けているような感覚を覚えます。あるのは自分の肉体と思考のみ…。この作品は、自由に想像の世界へと見るものを導きますが、呼びかけには主人公と同じく応えてはくれないように思います。

★いつか、遠くを見ていた

後日、映画『IZO』と『17歳の風景』の挿入歌で出来たCD「いつか、遠くを見ていた」を購入。CDに収められている分、実際の絶叫より丸く感じられて聞きやすく思います。『巨人(トシの才気にオンブして)』という曲は、即興で歌詞がつけられたとのことで、歌詞カードには詩が載っていません。「ゼツ・ゼツ・ボウ・ボウ・絶・望・ボウ」の歌詞は『17歳の風景』のチラシにも書かれている言葉。そこからかんがみるに、重要な曲でしょう。ただ、曲の途中で「現国の吉岡先生の肩中からなるとが落ちてきた時…」なる部分が。ビクっとなってしまったのは私だけでしょうか。それにしても、どっからこんな歌詞が生れてきたの…?そこが即興、即興詩人たる由縁でしょうか。
ところで、私は3曲目の『桃源』(『IZO』挿入歌)が好きです。珍しく、絶叫もギターは有りません。たった2分半弱の柔らかい歌。桃源というこの世にはない世界、望郷・少年の日が感じられます。他にも、友川カズキといえば、中原中也の詩に曲をつけたものが有名で、一曲含まれております。
一風変わった男、友川カズキをご賞味ください!


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