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「バカじゃないの?」だいたいイカでできてないじゃん。
−っるさい!でね。“板ワサ”出せっての。あるわけないじゃん、普通。しょうがないから、つっかけはいて、お財布だけもって、坂ダッシュしてぇ…ちょうど住んでた部屋、川沿いで、坂になっててね、下にちっちゃい商店があったのさ。で、そこに…でもあそこ生ワサビでなくて、チューブワサビになっちゃたけど。で、本命の鱧板と、あと焼色のない白のおさしみ蒲鉾買ったの。…買い終わったら急にほっとしてさぁ、そしたら何かね、食べたくなっちゃって、帰る道々かじった−しかも、高いほうの鱧板。
そこまで言うと、またグビッっとひとすすり。
私は、坂の下から蒲鉾をかじりながら、それでもスタスタと部屋へ上がって行ったであろう母の姿を想像して、めまいがした。
「女優なのに…食いついてきたわけ?!」
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