KANETETSU DELICA FOODS
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  しゃべる蒲鉾

第二話
「うーん、イイじゃない?で、食べきっちゃったから、安い方だけ男に出したっていう。

 でもねぇ、味が違うって怒んのよぉ〜。

 亭主じゃないんだから、そんなに怒るなっつーの!」

「ハイハイ。」

 といつもの調子で聞き流しながら、おつまみを作り始める私。昔はこんなハハオヤに嫌われたくなく、否゛えらいねー゛って頭撫で撫でされたくって、けなげに、無やみに時間をかけて(というか、かかって)不細工なアテを作っていた。けど今じゃあハイスピードだ。

 炭火焼ちくわを斜めに切って、マヨネーズと明太子のソースを横に添える。細く切ったきゅうりとチーズは竹輪に刺してから斜め切りに。

 つまみぐいが一番美味しいことに気づいたあの日から、立ったまま平気で食べる。そのことについて、母は何も言わないので、人に出す前には必ずそうやって頂戴する。素早く、そして、上品に…それは密かにやっている事なので、誰が判断するわけでもないけれど。



「リビングに竹輪たちを持っていく。

「やっぱり、娘に作ってもらうのが一番よね〜。自分はこうやってグデッとしてさ。」

 ソファーに寝そべって、プカプカ煙が気持ちよさそうだ。

「それを言うなら、゛他人に作ってもらうのが゛でしょ?」

 と、あえて意地悪なことを言ってみる。

「キョウ子!!そんなこと言うの、お母さん許しません!」

 私はそんな言葉は無視して、すり胡麻ともろみ味噌を盛った小皿を置く。ついでに母の目を見据えながら、

 「こんな変わったタレを付けるのが好きって、知ってるのは娘の私だけ。」

と言って、体の向きをクルリとキッチンの方にかえ、ちょっと微笑む。

「で、りんご酢も持ってこようか?」

 背後では、大笑いして、煙を吹き出す母。

「りんご酢だもんね〜毒りんご酢にでもしていただきましょうかしら?」

 愛には毒を、毒には愛を…!

−つづく−