てっちゃんと中島らも氏

中島らも氏の広告によって、
てっちゃんの人気は全国に広がっていきました。

中島らも氏
1982年8月「宝島」に中島らも氏の企画で始まった
「啓蒙かまぼこ新聞」。
11月にはてっちゃんのお父さんが登場しました。
この広告で、てっちゃんの人気も
全国に広がっていきました。

啓蒙かまぼこ新聞

1982年より雑誌「宝島」に中島らも氏の企画で始まったカネテツデリカフーズの連載広告。
てっちゃん親子が登場するその内容はカネテツの宣伝とはおよそ無関係に見え、
従来の企業広告の手法をことごとく無視した大胆なものであったことから大きな反響を呼びました。

雑誌「宝島」に中島らも氏の企画で始まったカネテツデリカフーズの連載広告

エッセイ

啓蒙かまぼこ新聞1983年2月号に掲載されたものです。

かねてつ食品常務(1983年当時)
現 代表取締役会長
村上健
啓蒙かまぼこ新聞編者
中島らも
中島
ご帰国おめでとうございます。
半年の滞米ご苦労さまでした。お疲れでしょう。
村上
いやいや、あなたの顔を見ずにすんで気がやすらぎました。
留守中はいろいろと…。
中島
いやあ当然のことをしたまでで。
村上
私がアメリカにいる間に、かねてつの企業イメージが…。
中島
ハイ、秋の陽のつるべ落しと申しますか(笑)
村上
営々と築きあげてきた老舗のイメージが……。
中島
ハイ、今やパンクかまぼこ屋というイメージに変わりつつありますね。
金ラメ入りのカマボコなんかどうですか?
村上
考えときましょう。
中島
でも、若い人には喜ばれてますよ、この広告。
てっちゃんファンもすごく増えたしね。女学生の間で。
村上
女学生!!
中島
そう、女学生。
村上
……女学生。
中島
プレゼントのある月には投書が二百通ぐらい来ます。
村上
プレゼントのない月は?
中島
二通ぐらい(笑)。いったい何考えてこんな広告してるのか、とかね。
こんなことしてて、かねてつの売上があがるのですか?とかね(笑)。
本気で心配してくれる人もいます。
村上
その気持ち、すごくよくわかる(笑)。
中島
どっちにしても僕のコピーライター生命は、この「かま新」で絶たれたも同然ですね。
同業者の僕を見る目がちがうもの。
村上
憐れみの目というか(笑)。
中島
完全にゲテモノを見る目ですね、あれは(笑)。
村上
「ごぼてん」も君が書いてるの?
中島
ハイ。会社で夜、人のいない時に(笑)。
ー中略ー
ところで、カマボコって家庭で作れるんですか?
村上
作れますよ。でもまあ、まる一日はかかりますね。
下ごしらえして…頭と尾と皮と小骨と、それに脂の多いところは全部とっちゃう。
エソっていう魚なんか一匹からオチョコニ杯分の肉しか残らない。
中島
もったいない。
村上
ぜいたくな食べ物ですよ。その割には評価が低い。
でも低カロリー低脂肪なので最近はアメリカ人もよく食べてます。
ボイルド・フィッシュ・ペーストっていうのね。
中島
今後はカマボコを尊敬するようにします。
とりあえずオカマボコと呼ばせていただいて(笑)。
村上
あなたもスポンサーのこと勉強しないと本当のゲテモノになっちゃうよ。
中島
ボクは「中島の前に中島無く、中島の後に中島無し」といわれた中島です。
今後とも頑張りますので、ひとつ「かま新」をよろしくお願いします。
村上
いや、もうやめます。ね、お願いだからやめさせてくださいね(笑)。
中島
メッケメケェーツ!(笑)。

微笑家族

1983年よりプレイガイドジャーナル、1987年より「ぴあ(関西版)」で掲載された
中島らも氏によるカネテツデリカフーズの名物マンガ全面広告。

ジスイ自炊ズ・カマボコ
心頭滅却すれば火もまた熱いわい

日本人は、「精神性の勝利」が大好きな民族だ。「根性」とか「勇気」などのインビジプルなものが物質の優越性を打ち崩す瞬間を見るのがこれほどに好きな民族はほかにいない。その証拠に、時代劇を見ていると、悪い廻船問屋の越後屋が、「ふっふっふ」と笑いながらフトコロから短筒を出す。と、おさむらいさんは必ず、「む、飛び道具とは卑怯な!」とくやしがるではないか、あんなものは別に卑怯でも何でもない。先行投資をして最新技術を導入しただけなのに卑怯もお経もない。カネテツデリカフーズでは食品管理に最先端の保冷技術を駆使している。卑怯千万でけっこう。「根性」で鮮度は保てない。

カネテツデリカフーズの名物マンガ全面広告
ジスイ自炊ズ・カマボコ
ここが違う!
「友だち」と「知り合い」

「冷たいこと言うなよ。友だちだろ?」というようなことを言う人には、たいていただの「知り合い」である。ポルノショップから出てくるところを発見して、何を買ったと追及できるのは「友だち」。見て見ぬふりをその場はしてあげといて、後で人に言いまくるのが、「知り合い」。ピンチのときには、絶対電話してこないのが「友だち」で、すぐに助けを求めてくるのが、「知り合い」。こういう目で見ると、思っているより「友だち」は少ないことに気づく。ところでカネテツデリカフーズのシーデリカシリーズ。お腹の長ぁい友だちだ。

カネテツデリカフーズの名物マンガ全面広告